研究課題/領域番号 |
10555346
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柏木 正 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (00161026)
|
研究分担者 |
安澤 幸隆 九州大学, 工学部, 助教授 (10191123)
中村 昌彦 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40155859)
|
キーワード | 流力弾性 / セミサブ型超大型浮体 / 階層型相互干渉理論 / 波漂流力 / ポンツーン型超大型浮体 / 過渡現象 / 時間領域 |
研究概要 |
海上空港として超大型浮体式海洋構造物を実現させるためには、ポンツーン型およびセミサブ型について、それぞれの長所・欠点を明らかにし、両者の優れた部分を融合するような総合的研究が必要であろう。そこで、本年度も両方の浮体形式について下記のような研究を行った。 1)非常に多数の要素浮体で支持されるセミサブ型超大型浮体に対しては、既に新しく"階層型相互干渉理論"を開発しているが、その妥当性について検証するために、4×16=64本のコラムで構成された浮体模型を製作し、水槽実験を実施した。コラムに働く流体力およびコラム間での波振幅を非常に多くの点で計測し、対応する計算結果と比較した。全体的には大変良好な結果が得られているが、理論計算は粘性を考慮していないために、流体力学的同調現象が発生する周波数では、実験値より大きい値を与えていることを確認した。 2)浮体の係留に関しては、波による定常漂流力・モーメントの推定が重要であるので、非常に多数の要素浮体間の相互干渉を"厳密"に考慮した定常波漂流力の高精度計算法を開発した。これに対しても妥当性を検証するため64本コラム模型を用いた向波中での水槽実験を行い、計算結果と比較した。計算値と実験値はよく一致していることを確認した。また、斜波中での特性を調べるために詳細な数値計算を行い、周波数に対する変動特性を明らかにした。 3)ポンツーン型超大型浮体に関しては、時間領域での過渡的な応答を精度良く計算するためのプログラムを開発した。メモリー影響関数は、既に開発している周波数領域でのBスプライン・ガラーキン法によって計算した減衰力係数から算定した。また周波数無限大での付加質量を計算するために、ダブレット分布による積分方程式を用い、核関数は解析的に処理するという高精度の計算法を開発した。妥当性を検証するために、船舶技術研究所で行われた「物体の落下実験」での計測値と比較した。結果は非常に良好である。この計算法は、飛行機の離発着などにおける浮体の弾性応答の計算に使えるので、系統的な数値計算を実行し、弾性変位の伝播に関しての多くの知見を得る予定である。
|