研究概要 |
泥水の熱物性およびレオロジー特性は、メタンハイドレート層(M/H層)を対象とした掘削シミュレーションおよび泥水冷却用熱交換器の設計・性能試験を実施する場合において重要である。M/H層を掘削する場合おいて、分解抑制を想定した坑内温度および圧力が制御されるため、泥水温度と圧力に関する掘削シミュレーション予測は不可欠である。ただし、掘削シミュレータによる循環泥水の坑井内温度・圧力などに関する予測には、泥水の密度、比熱、熱伝導率などの低温領域の熱物性値およびレオロジー特性の測定値が必要とされ、ハイドレート再生成抑制剤などが熱物性に与える影響は重要となる。 平成12年度の研究においては、三陸沖および南海トラフの基礎試錐において掘削船上で採収された海水ベースのKClポリマー泥水サンプルの熱物性およびレオロジー特性値を測定し,カッティングスの混入などの影響評価を実施した。また,熱伝達率測定用の実験装置の製作と解析モデルの構築を実施し,アニュラス部のケーシングにおける熱伝達量に関し,ケーシングモデル(内径0.152m、泥水循環量0.01〜0.04m^3/s、せん断速度510〜10200s^<-1>、泥水温度5〜10℃)に対して泥水への熱伝達量を泥水のレオロジー特性および熱物性値を用いて評価した結果、熱伝達率は390〜1350[W/m^2K/mケーシング],熱伝達量は2780〜9690[W/mケーシング]および温度上昇量は0.85〜1.29[℃/mケーシング]と算定された。
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