研究概要 |
泥水の熱物性およびレオロジー特性は、メタンハイドレート層(M/H層)を対象とした掘削シミュレーションおよび泥水冷却用熱交換器の設計・性能試験を実施する場合において重要である。M/H層を掘削する場合おいて、分解抑制を想定した坑内温度および圧力が制御されるため、泥水温度と圧力に関する掘削シミュレーション予測は不可欠である。ただし、掘削シミュレータによる循環泥水の坑井内温度・圧力などに関する予測には、泥水の密度、比熱、熱伝導率などの低温領域の熱物性値およびレオロジー特性の測定値が必要とされ、ハイドレート再生成抑制剤などが熱物性に与える影響は重要となる。研究成果として、ハイドレート分解抑効果を持たせた高塩分濃度泥水16種の温度を-5℃〜50℃まで変化させ,熱物性およびレオロジー特性を測定し,それらの測定値から数値シミュレーションに使用するための各種添加成分および掘削屑の混入を想定したリブダストなどの添加量に対する影響を考慮した熱伝導率,比熱およびプラントル数などの整理式を提示した。また、泥水の粘性係数に関する温度およびせん断速の関数とした整理式を提示し、その定数値の算定結果をまとめて示した。また、三陸沖および南海トラフの基礎試錐において掘削船上で採収された海水べ一スのKClポリマー泥水サンプルの熱物性およびレオロジー特性値を測定しソリッド成分の混入などの影響評価を実施した。さらに,熱伝達率測定用の実験装置の製作と解析モデルの構築を実施し,アニュラス部のケーシングにおける熱伝達量に関し,ケーシングモデルに対して泥水への熱伝達量を泥水のレオロジー特性および熱物性値を用いて評価した。
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