研究概要 |
環境との調和を掲げて,放射性廃棄物処分やエネルギー貯蔵などの深部地下利用が注目されるようになっている.この地下空間開発は,構成要素である岩盤の剛性,密閉性,耐久性,隔離性などの特徴を活用するものであり,自然・社会環境へ及ぼす影響を押さえることが重要である.一方で,一度開発を行うともとの状態に戻すことが困難であるという不可逆性を有しているため,その設計,施工および維持管理においては,特に適切な対策を施す必要がある.したがってこれらの基礎的な情報として,岩盤中に不可避に存在する不連続面の力学・透水特性を正確に把握する必要がある. 本年度は,せん断試験,透水試験およびこれらを組み合わせたカップリング試験が可能な装置の試作を行い,これらの特性に影響を及ぼす要因として,ダイレーションによる間隙幅の変化を取り上げ,せん断透水同時試験を行い,これらの特性を把握する.またGIS(地理情報システム)を用いて,せん断-透水挙動を可視化するとともに,力学-透水モデルを構築し,不連続面内の構成要素と水の挙動を解析することを目的とした研究を行った. その結果,開発したせん断透水同時試験装置を用いてせん断透水同時試験を行い,不連続面のせん断特性,垂直変形特性,透水特性との相関性を明らかにするとともに開発した装置の妥当性を示した.さらに,表面凹凸計測を行い,間隙幅分布を評価した上で,水頭値,不連続面の接触領域との関係を定量的に示すことができた.以上の知見より,せん断-透水モデルを作成,実験値と比較して,せん断時に透水係数が極めて増加するなどの今まで明らかにされていない連関特性を検証することができた.
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