研究分担者 |
松本 亨 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50274519)
蒋 宇静 長崎大学, 工学部, 助教授 (50253498)
三谷 泰浩 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20301343)
張 銘 工業技術院, 地質調査所, 特別研究員
鹿田 光一 九州東海大学, 工学部, 助教授 (50243902)
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研究概要 |
放射性廃棄物の地層処分や各種エネルギーの地下貯蔵など深部地下の開発利用が注目されている。これらの地下開発は,地下の構成材料である岩盤の隔離性,密閉性などを積極的に利用するものであり,その設計にあたっては安全性,経済的合理性,環境上の配慮など,従来の施設と比べて格段に厳しい設計条件が要求される。そのため,岩盤の力学・透水特性,特に岩盤において支配的な不連続面のこれらの特性を明らかにすることが要求される状況にある。 そこで,昨年度より岩盤不連続面のせん断-透水同時特性を把握するための試験装置の設計・開発・試作を行った。今年度は,この開発した試験装置の透水装置部に改良を加え,深部岩盤の透水挙動を忠実に表現できるような機能を追加した。さらにその試験装置を用いて基礎的な試験を行い,岩盤不連続面のせん断-透水同時特性を明らかにした。また,GIS(地理情報システム)を用いた力学-透水モデルを構築し,不連続面内の構成要素と流れの挙動およびせん断挙動を解析することを目的とした研究を行った。 その結果,開発したせん断-透水同時試験装置の有効性を確認するとともに,岩盤不連続面のせん断特性,垂直変形特性,透水特性との相関性を明らかにした。特にせん断による透水係数の変化は,せん断変位の増加とともに一旦は減少するものの,せん断応力が最大値を示した後に急激に2〜3オーダー増加し,その後,一定の透水係数を示すことを明らかにした。また,せん断箱上箱の傾斜を拘束し不連続面上下が完全な平行を保った状態で試験を行い,透水係数の変化を確認するとともに,せん断変位が大きくなると透水係数は間隙幅の大小に依存しないことを明らかにした。さらに,基本的な力学-透水モデルの構築を行い,GISによる力学・透水の連関特性のシミュレーションを行った。しかし,本モデルは幾つかの問題点を有しており,次年度以降さらなる改良を行う予定である。
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