研究概要 |
本研究は,高速水噴流による岩石穿孔に伴う連続チッピングの掘削工学への応用を主題とし,掘削システムの設計に必要な理論の構築と基礎資料の提供を目的としている。 平成11年度の主な研究成果はつぎのようである。まず,穿孔プロセス解析法(3乗法)の理論を構築し,岩石とセラミックスについて金属と同様な壊食の3乗則が成立すること,穿孔の難易度が入射圧力と材料の壊食強度に依存すること,壊食強度は3乗法により孔底入射圧力とともに高精度に評価できることなどを明らかにした。つぎに,新たに固定深さチッピング実験を行い,穿孔中チッピングが一種の疲労破壊であることを明らかにするとともに,チッピングポテンシャルPCを定義し,掘削システムの最小吐出圧力条件:PC≧18を明らかにした。つぎに,新たに正方格子配列多点穿孔実験を行い,多点同時穿孔の最適穿孔間隔と掘削能係数を具体的に示した。また wC3乗法反復モデルによる掘削体積比エネルギー予測法を構築するとともに,掘削体積比エネルギーがチッピングの反復回数の二乗に大略反比例することを明らかにした。さらに,連続チッピングの掘削能係数が通常水噴流と研磨材添加水噴流による送り切削より大きいこと,送り切削の掘削効率の最大化はノズルの送り速度を大きくすることによって達成されることなどを明らかにした。つぎに,直交3方向からの垂直衝突穿孔実験と2軸圧縮穿孔実験により結晶質岩石の壊食強度が堆積岩と同様に等方的であること,地圧下の掘削体積が無負荷状態のそれより顕著に大きいことなどを見出すとともに,次元解析から壊食強度評価式を誘導して,地圧下の壊食強度の異方性を明らかにした。なお,これら掘削システムの設計に必要な理論と基礎資料は学会誌に論文投稿中である。
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