研究概要 |
(1)昨年度までに得たDs-GUSを1コピー持つ42系統および2コピー持つ50系統と、35S-AcTPaseを導入したイネ6系統のうち、35S-AcTPaseの6系統とDs-GUSの4系統を交配しF1固体での転移頻度を解析した。 (2)このうち17組み合わせで葉でのDs-GUSの切り出しを調べ、ほとんどの組み合わせでDs-GUSの切り出しが見られた.しかし、35S-AcTPaseの1系統はいずれのDs-GUS系統と交配してもDs-GUSの切り出しを誘導できず,またDs-GUS系統の1系統もいずれの35S-AcTPase系統との交配でも切り出しが見られなかった。 (3)さらにF2個体を用いて、生殖細胞でのDs-GUSの転移を調べた。F2の葉からDNAを抽出しPCRにより転移体の選抜を行った。その結果,全体としては6%(675/10,524)が転移体であったが、転移頻度は0%〜16%とDs-GUS系統により大きく異なった。 (4)ここで用いたベクターは、Ds-GUSの切り出しが起こるとクロルスルフロン耐性遺伝子が発現する構造である。よってPCR法により選抜された転移体が実際ににクロルスルフロン耐性を示すかどうか調べた結果、Ds-GUS転移体はクロルスルフロン耐性を示すことがわかった。PCR法およびクロルスルフロン耐性による選抜の結果、現在までに合計2,239の転移体が得られた。 (5)さらに多くの転移体を得るため実験規模を拡大し、Ds-GUSを1コピー持つ新たな22系統を、Ds-GUSの転移を誘導できることのわかった35S-AcTPase系統と交配し、得られたF1の葉でのDs-GUSの切り出しを調べた。その結果、20系統でDs-GUSの切り出しが見られ、引き続き転移体の選抜を行っている。 (6)すでに一部のDs-GUS転移体を用いて、GUS染色によるエンハンサートラップのスクリーニングを開始した。来年度は多数の変異体のGUS発現解析を通じて、発生に関与する遺伝子群の発掘を行う。
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