イネのエンハンサートラップ系統の作出と変異体解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10556003
• 研究機関: 国立遺伝学研究所
• 研究代表者: 倉田 のり 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教授 (90178088)
• 研究分担者: 野々村 賢一 国立遺伝学研究所, 実験圃場, 助手 (10291890) ; 伊藤 幸博 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (70280576)
• キーワード: イネ / エンハンサートラップ / Ac / Ds / GUS遺伝子 / 転移系統

研究概要

(1)Ds-GUSを1コピー持つ新たな28系統と転移率の高かった35S-AcTPase1系統を交配し、36系統の交配種子を得た。これらの中から22系統について、F2における転移頻度をPCRおよびクロルスルフロン耐性によって調べた結果、平均転移頻度は28%であった。
(2)これまでの4組み合わせでは、F2個体での転移頻度は6%で、転移個体は10,524固体中、675個体であったが、新たな22組み合わせのF2では3277個体中、926個体を得られ、転移個体の選抜効率が上昇した。
(3)一部のDs-GUS転移体を用いて、GUS染色によるエンハンサートラツプのスクリーニングを開始した。540系統について、いくつかの生育ステージで代表的組織(現段階では、葉身、葉鞘、葉耳、葉舌、根、節、穂軸、脇芽、柱頭、花柱、花頭、子房、葯、花糸、鱗皮、内穎、外穎。護穎など)をサンプリングし、これらすべてでGUS染色を行い、トラップされた組織、系統を洗い出した。現在までに300系統については、ほぼ全てのステージでの検出が終わり、総計18系統でいずれかの組織でのGUS活性が見られた。トラップの効率は1-2%と計算できる。
(4)Ds-GUSのオリジナルの挿入部位のマッピングおよび、転移系統のDs-GUSの転移先の位置とゲノムDNA配列を調べるため、挿入隣接領域のDNAのクローニングとシークエンシングを行った。一部の系統について(オリジナル20系統、転移50系統)の調査を終え、引き続き残りの系統を解析していく。

研究成果

• [文献書誌] Ito, Y., Eiguchi, M., Kurata, N.: "KNOX homeobox genes are sufficient in maintaining cultured cells in an undifferentiated state in rice"Genesis. vol.30. 231-238 (2001)
• [文献書誌] Miyoshi, K., Kurata, N., Nonomura, K.I.: "Detection of the pre-meiotic DNA synthesis in pollen mother cells by immunofluorescence technique in rice"Rice Genet. Newsl. 18(in press). (2001)
• [文献書誌] Harushima, Y., Nakagahra, M., Yano, M., Sasaki, T, Kurata, N.: "A genome-wide survey of reproductive barriers in an intraspecific hybrid"Genetics.. 159. 883-892 (2001)
• [文献書誌] Ahn, B.0., Miyoshi, K., Itoh, J.I.Nagato, Y, Kurata, N.: "A genetic and physica I mapping of the region containing plastochronl, a heterochronic gene, in rice"Theor. Appl. Genet.. (in press). (2002)
• [文献書誌] Ito, Y., Hirochika, H., Kurata, N.: "Organ specific alternative transcripts of KNOX family classs 2 homeobox genes of rice"Gene,. (in press). (2002)
• [文献書誌] Kurata N., Fukui K.: "'Monograph in genus Oryza.'"Chromosome research in genus Oryza. (in press). (2002)