湛水条件下で行われる水稲の直播栽培の安定化に不可欠とされる出芽能力を向上させるために必要とされる諸形質の解明のための試験を行った。まず、アミラーゼのなかで最も基本的な酵素であるα-アミラーゼのisoformと出芽の関係を調査したが、湛水土中からの出芽に当たってはこれまで知られているisoformではなく、鞘葉の伸長をより強く支配する新たなisoformによっていることを明らかにした。また、胚を単離して十分に糖を与えた場合にも鞘葉の伸長に大きな違いが見られることを明らかにした。このことはこれまで主として対象とされてきたデンプン分解系ではなく、鞘葉の伸長を直接支配する形質が出芽を支配する可能性を示唆するものであろうと考えられ、expansinなど鞘葉の伸長機構について新たな研究を展開する必要があると考えられた。
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