研究概要 |
1.メロン「うるみ果」の生理的メカニズムを明らかにするため,遮光処理により「うるみ果」を発生させ細胞壁成分の変化との関連を調査し,以下の知見を得た. 1)品種によりペクチンの性質の性質が異なり,「うるみ果」の発生しやすい品種'アンデス'は,発生しにくい品種'ラスター'に比べ可溶化しやすい性質を持っていた. 2)遮光処理により果肉硬度が低下しているにもかかわらず,ウロン酸の総量が維持される傾向があった. 3)遮光処理によりペクチン主鎖に対する中性糖側鎖が少なくなる傾向があった. 4)遮光処理により中性糖組成が変化し細胞壁から著しくガラクトースが減少していた.またグルコースおよびキシロースの割合も低下していた.以上の結果から「うるみ果」の発生に伴い,細胞壁中性糖が減少しペクチン-ペクチンおよびペクチン-ヘミセルロースの結合力が低下することにより果肉崩壊が生じることが示唆された. 2.果実肥大期におけるカルシウム散布がメロン果実の貯蔵性に及ぼす影響を調査し,以下の知見を得た. 1)カルシウムを散布は,対照区に比べ果肉硬度を高く維持した. 3.メロン'アンデス'の果実肥大中に窒素処理ないし遮光処理することにより,以下の知見を得た. 1)窒素処理した果実は嫌気状態となり,発酵したものの,ペクチンや側鎖中性糖の分解を抑制すると共に,「うるみ果」特有の果肉硬度の低下を引き起こさなかった.従って,「うるみ果」では果実発酵とは別の細胞壁に変化を与える何らかの要因が関与していると考えられる.
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