研究課題/領域番号 |
10556012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 昌男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70107407)
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研究分担者 |
尾崎 正孝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00270893)
嶋田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20202111)
小林 正彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60162020)
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キーワード | 昆虫ウイルス / 生体防御 / アポトーシス |
研究概要 |
家蚕を宿主とする核多角体病ウイルス(BmNPV)はヨトウガSpodoptera frugiperda由来の培養細胞Sf-21に感染しない。しかし、同ウイルスを増殖させた蚕由来の培養細胞BmN細胞上清を添加したところ細胞変性が観察された。変性の程度は添加量に依存して強くなる傾向にあった。変性要因を調査した結果、10万xgの超遠心沈殿分画に変性要因が存在することから、BmNPVウイルス粒子であることが推定された。次に、細胞変性がテポトーシスに由来することを確認した。すわわち、細胞からのapoptic bodyの出現とDAPI染色による核観察において核の断列像が明らかになったことから、細胞変性はアポトーシスであると判定された。BmNPVの作用を明らかにする目的で、BmMPV培養液を用いて、ウイルスの熱不活化の影響について調べた。その結果、ウイルスの感染活性が保たれている温度においても、Sf細胞に対するアポトーシス誘起活性は失われることが判明した。このことから、アポトーシス誘起因子はウイルス粒子のゲノム以外である可能性が示唆された。BmNPVのアポトーシス誘起が昆虫種で異なるか否かを明らかにする目的で、数種鱗翅目昆虫由来の培養細胞株に対する影響を調査した。その結果、アポトーシス様の変性が生ずる細胞と影響のみられない細胞株の両者が存在した。これらの細胞のBmNPV感染性も同時に調べた結果、いずれの細胞もBmMPVに対する感染性は認められなかった。以上の結果から、核多角体病ウイルスは非感染性の宿主に対しても作用し、非感染細胞はアポトーシスを誘起する形で応答する場合があることが推察された
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