研究概要 |
本研究は神経伝達物質であるGABAの合成に関わるグルタミン酸デカルボキシラーゼの酵母での発現系を確立すること,そして得られた精製酵素を糖尿病断薬として使用する可能性を検討することを目的とする。 本年度の成果は:酵母における発現系での効率化を目指し,誘導因子となる酢酸,乳酸などの効果を検討するとともに,発現タンパク質の安定化について検討した。また,酵素活性測定のより簡略化を目指し,新規な酵素活性測定装置の試作を行うとともに,従来のR1やHPLC法との比較検討を行った。さらに,近年新たに市販された抗GAD65抗体数種を用いて発現タンパク質との抗原・抗体反応を検討した。 その結果,酢酸,乳酸ともに誘導因子としては利用の価値があることを確認し,工業的なGAD65生産時での有用性を示唆できた。活性測定装置はキャピラリーを用いて酵素反応により発生する二酸化炭素を直接測定しようとするもので,超微量測定にはまだ改良する必要があり,現在改良に取り組んでいる。発現タンパク質の熱に対する安定性を活性を測定することで検討した結果,拮抗阻害剤の存在下では熱安定性が著しく向上することが判明した。安定なGAD65の供給は糖尿病診断法には必須の条件であることにより,拮抗剤の添加は今後の検討課題と考える。
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