研究課題/領域番号 |
10556023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
中島 伸佳 岡山県立大学, 保健福祉学部, 専任講師 (10198070)
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研究分担者 |
中村 薫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10101239)
石原 浩二 京都教育大学, 教育学部, 助手 (50273537)
杉本 学 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (20216336)
浜田 博喜 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10164914)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | earthworm / serine protease / Fibrinolysis / Fibrinolytic enzyme / gene expression / stability / degradation / nucleotide sequence |
研究概要 |
「地龍」と言う名称の漢方薬として中国などの東洋諸国を中心に用いられ、タンパク質資源としても貴重なミミズ由来の安定で高活性なプロテアーゼを精製した。 本酵素は6種類の異なった遺伝子から発現しているアイソザイムであり、分子量23,000〜30,000の酸性タンパク質であった。また、本酵素は自己消化に伴う失活が生じなければ、室温条件下、溶液状態でも長期間安定なアルカリセリンプロテアーゼであり、フィブリンのみならず、エラスチンやヘモグロビンなどにも作用し、エステル化合物や生分解プラスチックの加水分解をも触媒した。なお、本酵素は、強い有機溶媒耐性も有しており、ヘキサンやトルエンなどの存在下でも安定であった。 本酵素の、アミロイドペプチドやインシュリンに対する水解サイトや、自己消化の際の本酵素内部の切断部位を特定し、他のセリンプロテアーゼと比べて幅広い切断サイトの特異性を有していることを証明した。 続いて、本酵素により、ラット静脈中に生じさせた血栓を分解させること、本酵素にヒト血清アルブミン断片を結合させ、抗原性が低く血中安定性の高い「化学修飾酵素」を作成すること、本酵素を不活性担体に固定化し、フィブリンを分解することが可能な「酵素バイオリアクター」を構築することにも成功した。 さらに、本酵素作用によって製造可能な「ミミズ自己消化エキス」の成分組成が、大豆醤油と類似していることを発見し、微生物の培養に用いるペプトンの代用品としての効果を実証した。 最後に、本酵素遺伝子を、酵母細胞にクローン化することにより菌体外酵素として高発現させ、「酵素製剤」としての大量生産を可能にすると共に、本酵素のDNA構造や高次構造を解明し、本酵素の自己消化は、トリプシンなどの自己消化領域と構造的に対応する部位では生じないことや、本酵素がβ-構造に富むことなど本酵素の安定性を裏付ける種々の知見を得た。
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