研究概要 |
イネを中心とした澱粉合成関連遺伝子の穀物澱粉改変への利用の可能性を追及することを目的として,澱粉合成関連遺伝子に関する研究を行い,以下の成果が得られた。 1)イネ登熟種子枝つけ酵素RBE1の実用化を考慮しながら,その組換え型酵素をさまざまな澱粉に作用させて陰イオン交換パルスアンペロメトリー高速クロマトグラフィーで分枝鎖長の変化について解析した。RBE1反応を受けた澱粉はその種類に関わらず構造的な類似性を持っており,特に6グルコース単位の短い分枝鎖転移が顕著であった。また,さまざまな鎖長のアミロースを基質にした場合にも効果的に分枝鎖形成を触媒したが,分枝側鎖が増えるにしたがって約10グルコース単位の長い分枝鎖転移が減少した。おそらく,枝つけ酵素RBE1の転移反応は,基質の側鎖密度に制限されていると思われる。 2)イネ枝つけ酵素アイソザイム遺伝子の完全あるいは部分的な発現抑制を行うために,RBE1とRBE3の遺伝子に対するアンチセンス遺伝子構築物を作製した。次いで,それらの遺伝子構築物をイネ種子未成熟胚カルス経由で形質転換を行った。植物体の再生に関してはいくつかは成功したが,出穂の段階まで成長させることができなかった。このために,再度,同じ実験をくり返す予定にしている。
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