研究概要 |
マツノマダラカミキリ幼虫の新鮮フラスのメタノール抽出溶液を軽く乾固してから,ベンゼン,クロロホルム,アセトン,メタノールを順次注ぎ,それらに可溶な成分に分けた。各画分の1gフラス当量を小丸太に塗布して,生物検定を行った結果,ベンゼン可溶画分に産卵忌避物質が存在することが示された。ベンゼン可溶画分を軽く乾固し,ヘキサンに溶かした(ヘキサン画分)。次にヘキサン不溶残渣をベンゼンに溶かし,シリカゲル(70-120 mesh)を充填したカラムにいれた。これをヘキサンからメタノールまでの溶媒系列で溶出し,6画分に分けた。合わせて7画分のそれぞれの1gフラス当量を小丸太に塗布して,産卵阻害を調べた。その結果,ヘキサン画分に産卵阻害物質が存在することが示された。そこで,シリカゲルを充填したカラムにヘキサン画分を入れ,ヘキサン,ベンゼン,ベンゼン・クロロホルム(1:1),クロロホルム,メタノールで順次溶出をして5画分を得た。このうち,ベンゼン画分とメタノール画分に産卵阻害活性が認められた。それらをシリカゲルのTLCを用いて,展開したところそれぞれ7と3のスポットが見られた。各スポットについて生物検定を行ったところ,ベンゼン画分の1スポットだけに産卵阻害活性が認められたので,GCとGC-MSによってアセトフェノンなど6物質を同定した。これまでの所,どの物質も単独では産卵阻害活性を示していない。
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