研究概要 |
省エネルギー、無公害、省資源型の「自己完結型有機溶媒を用いたPHAパルプ製造プロセス」を確立するために、昨年度の針葉樹に引き続き、シラカンバ、ユーカリの広葉樹パルプ材とケナフ、バガス、オイルパーム廃棄物(EFBとFF)、稲わらと(小)麦わらの草本類をパルプ原料に使用し、HPSパルプ化プロセスの検討を行った。草本類は季節的制約のある原料であるために、草本類の供給できない時期には広葉樹材をパルプ原料に使用するプロセスを念頭に入れた研究計画である。 先ず、これら試料の製紙原料としての特性を調べるために、アルコール・ベンゼン(アルベン)抽出物、熱水抽出物、アルカリ抽出物、これらの抽出残滓に含まれるクラーソンリグニン(KL)、α-セルロースの各成分を定量分析した。カバ、ケナフとEFBはユーカリよりもKLが少なく、α-セルロースが多く、ユーカリよりも良好なパルプ材である可能性が示唆された。バガスとわら類はアルカリ抽出物が多く、アルベン抽出物残滓にKLとして定量されるリグニンの大部分がアルカリにより抽出され、木材リグニンと著しく性状が異なるリグニンを含むことが示唆された。また、わら類には10-15%の灰分が含まれていた。 これら試料をヘミセルロースから調製できる1,5-ペンタンジオール(PDL)、プロピレングリコール(PG)などを有機溶媒に用いたPHAパルプ化を検討した。パルプ化条件の詳細な検討は継続中であるが、各80%溶媒水溶液、液比4〜5、200℃、1-2時間の条件で脱リグニンの進んだパルプを調製することが可能であった。パルプ廃液からPHAリグニンのみを分離した残液(RPHA)をパルプ化溶媒に再使用すること、および比較的廉価なPGをベースにし、PDLを補給溶媒に使用することを検討したが、何れも良好なパルプ化が可能であることが示唆された。PHAリグニンの性状を分析した。
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