研究課題/領域番号 |
10556036
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 尭介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012074)
|
研究分担者 |
鈴木 磨 (株)日本吸収体研究所, 代表取締役社長(研究職)
新谷 博幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282693)
松本 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183619)
|
キーワード | 紙 / 古紙 / セルロース / 吸水性 / 保水材 / 砂漠緑化 / 架橋剤 / 生分解性 |
研究概要 |
我々が日々の生活の中で排出する膨大な量の古紙の有効な利用法の開発は、単に資源の有効利用の視点からのみならず、それが森林で生産される樹木を原料としていることを考えると、地球環境の面からも極めて重要である。本研究では、紙としての再生の困難な低質古紙の利用法の開発を最終的な目的として、古紙からの高性能吸水剤の開発を意図して研究を進めている。 前年度までの検討によって、晒広葉樹クラフトパルプのカルボキシメチル化およびそれに引き続くポリエチレングリコール・ジ・グリシジルエーテルによる架橋処理によって、従来のセルロース系吸水剤にはない、高い保水値を有する吸水剤を開発することに成功している。この段階で用いた処理法は、カルボキシメチル化段から生成物を一旦単離することなく、架橋反応に入るものであった。 本年度は、一層高い保水値を有する吸水剤の開発を目指して検討を進めた。その結果、カルボキシメチル化段の後に生成物を一旦単離し、洗浄ののち、架橋反応に入ることによって、1gで700gに近い水を吸収する性能を有する吸水剤が得られることを明らかにするとともに、吸水性能が架橋密度のみならず、架橋剤の鎖長によって大きく影響されることを見出した。ルーズでフレキシブルな架橋構造の形成が、高い吸水性能の発現にとって重要であるといえる。 なお、本年度に採用した2段法において高い吸水性能を達成できたことの理由については明らかではないが、、カルボキシメチル化段で副成した何らかの物質が、架橋反応を阻害したものと考えている。最終的な乾燥地あるいは劣悪地の緑化、土壌改良等への実用化にとっては、本法による吸水剤の製造収率および一層安価な架橋剤の開発が重要であるといえる。
|