研究概要 |
キャラボク,イチョウの組織培によるタキソール,ギンゴリドの生産、およびキャラボク内樹皮から単離したペスタロッチア菌によるタキサン類の生産について調べた。 1 キャラボクの茎から誘導した培養細胞をアルギン酸で固定化した固定化細胞は、培地中ヘタキソールを放出した。その放出は培地を交換した場合は、4週間連続的して続いた。その量は0.3〜0.6mg/Lであり、細胞中のタキソールの約60〜80%が培地中へ放出された。しかし、培地を交換しなかった場合は、培地中への放出は2週間でストップすることも分かった。また、固定化細胞はエリシター等を添加するとタキソール放出量が増加することも見出した。 2 キャラボク内樹皮から数種のペスタロッチア菌を単離した。それらの菌は極小量であるが、タキサン類を生産することを見出した。その中には強い抗ガン性を有するタキソールも生産されていることがイムノアッセイから判明したが、その生産量については調査中である。 3 イチョウの胚から誘導した培養細胞により、ギンゴリドが生産できることを見出した、また、その細胞培養液にエリシター(キトオリゴ糖)を添加すると、その生産量が約5倍増加することが分かった。培養細胞により生産されるギンゴリドの量は、カルスのそれの約2倍であり、母植物のそれとほほ同等であった。 4 イチョウの胚のカルスからの誘導した培養細胞をアルギン酸で固定化した固定化細胞は、3週間連続して培地中にギンゴリドを放出することを見出した。また、固定化細胞に光を当てるとギンゴリド放出量が増加することも分かった。さらに、固定化細胞は生合成前駆体等を添加するとキンゴリド放出量が増加することも見出した。しかし、その量は少なかった。バイオリアクターに充填した固定化細胞による連続的なギンゴリド生産については検討中である。
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