研究課題/領域番号 |
10556040
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
割石 博之 九州大学, 農学研究院, 助教授 (50253513)
|
研究分担者 |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 助教授 (10211921)
三木 健良 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40037586)
田中 浩雄 九州大学, 農学研究院, 教授 (20038243)
西川 誠司 (株)コスモ総合研究所, 環境技術課, 研究員
堀田 康司 (株)コスモ総合研究所, 環境技術課, 課長・研究員
|
キーワード | 担子菌 / 中国遺棄化学兵器 / イペリット / マスタードガス / 微生物分解 / ルイサイト / チオジグリコール / 化学兵器禁止条約 |
研究概要 |
世界各地に放置されているイペリット(マスタードガス)の安全かつ迅速な分解除去法の開発を行っている。イペリットは毒ガスと称されているが、不揮発性(b.p.217℃)油状物質であり、びらん性で致死性の低い化学兵器である。 昨年度までの研究で、担子菌処理によりイペリットの分解(完全無機化)が迅速に進むことを明らかにした。本年度は、我が国の責務である中国遺棄化学兵器の分解へ向けた展開をはかることとした。 中国遺棄化学兵器の処理を考えた場合、米国や中東で保管されているイペリット弾と大きく異なる点がある。まず第一に、保管状況が悪く、弾薬(TNT)が混入しているものも多数存在する点である。さらに、中国東北部で保管するため、凍結防止剤がかなりの量混入していることが挙げられる。実際には凍結防止作用があり、しかも、イペリットと同様のびらん性を有するルイサイトとよばれる有機砒素化合物が用いられている。ルイサイトが3価ヒ素を含むことから、トリフェニルアルシンをモデル基質とし、その担子菌による代謝経路について詳細な検討を行った。 トリフェニルアルシンは効率よくトリフェニルアルシンオキシドへと酸化された。ヒ素が5価へと酸化されることにより、びらん性の消失、ヒ素毒性の低下が起こることが明となった。また、この代謝系がリグニン分解系と強い相関があることが判明し、実際にリグニン分解酵素を用いた実験を行い、リグニンペルオキシダーゼおよびメディエーター共存下でのラッカーゼにより触媒されることを証明した。さらに、アルキル側鎖とヒ素間の結合が加水分解されるか否かの検討を行っているところである。
|