研究概要 |
まず雌クルマエビの成熟度をAランク(表層胞期の成熟卵を持った個体),Bランク(第3卵黄球期の卵を持った個体),Cランク(卵黄蓄積中の卵を持った個体),Dランク(未熟卵を持った個体)に分類した。大型池において親エビを養成したところ、産卵可能なAランクの成熟エビが春と秋に出現することが分かった。 Bランクの雌エビを用いた片側眼柄の結搾により産卵率の顕著な向上が認められた。さらに眼柄の除去方法として結搾(片側および両側)と切除(片側および両側)の比較検討を行った。その結果、いずれの方法でも産卵率を上げることができたが、親エビに対する影響を考慮すると産卵促進には片側の眼柄の結搾で充分であることが判明した。 クルマエビの成熟した卵巣から90kDaの卵黄蛋白成分を精製し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。さらの酵素分解により得られたペプチド数種についてアミノ酸配列を決定した。これらの配列情報を基にプライマーを設計し、卵黄蛋白cDNA断片を得た。これをプローブとしたノザン解析により卵黄蛋白が主に卵巣で合成されていることが判明した。またクルマエビのCHH族ペプチド(7種)のうち血糖上昇作用を持つ6種のペプチドが卵巣における蛋白合成抑制作用を持つことが卵巣片を用いた培養実験の結果判明した。この結果、これらのホルモンが卵巣抑制ホルモンである可能性が出てきた。 脱皮抑制ホルモン遺伝子を大腸菌に導入したところ、活性を持った脱皮抑制ホルモンが大量に生産出来た。現在卵巣抑制ホルモン遺伝子の大腸菌への導入を行っている。
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