研究課題/領域番号 |
10556045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 牧人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183809)
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研究分担者 |
吉崎 悟朗 東京水産大学, 水産学部, 助手 (70281003)
木下 政人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60263125)
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キーワード | トランスジェニック魚 / 生殖腺刺激ホルモン / 遺伝子導入 / リコンビナントホルモン |
研究概要 |
近年申請者らは、トランスジェニック魚を用いたタンパク質ホルモンの発現系を考案した。この方法は、魚類のホルモン遺伝子を魚類卵に導入して、トランスジェニック魚を作製し、導入した遺伝子の発現により産生されたタンパク質を血液中に放出させ、血液中からホルモンを回収するという新規な方法である。このような背景のもとで、本研究では、ニジマスを用いて、キンギョGTHの大量発現する系を確立し、トランスジェニック魚により産生されたキンギョGTHを研究者へ供給することを目的としている。 今年度は、以下のようなことを行った。 1) メダカβアクチンプロモーター・エンハンサー、キンギョGTHα鎖cDNAおよびウシ成長ホルモン由来のポリアデニレーション配列を結合したDNA断片と、同様に調製したGTHβ鎖(I・IIともに)cDNAの2つのDNA断片を1つのプラスミドベクターに挿入し、キンギョGTHα鎖とβ鎖(α-Iβ、α-IIβ)を同時に発現するようなコンストラクトを作製した(木下、吉崎)。 2) マイクロインジェクション法により前記のコンストラクトをニジマス受精卵に導入した。(吉崎)。 3) 受精後20日の胚から全RNAを抽出し、RT-PCR法により、GTHα鎖、β鎖の転写が同時に起きていることが確認できた(I・II各3尾) (吉崎)。 3) 受精後70日の稚魚からDNAを抽出し、外来のキンギョGTHのα鎖cDNAおよびβ鎖cDNAの配列がPCR法により検出され、導入したコンストラクトの存在が確認できた(I・II各11尾) (吉崎)。 以上のことから、本法により、20日胚においては、導入された遺伝子が細胞内で転写されていること、70日齢稚魚においては、染色体中に組み込まれて安定化しているものと推測された。 一方、導入遺伝子が翻訳されることを確認するためには、キンギョGTHを検出する特異抗体の活用が有効である。そこで今年度はGTH抗体作製のための抗原として、キンギョGTHβ鎖を大腸菌で作製し、現在ウサギに免疫中である(小林)。
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