本研究は、土壌中の微生物を増殖させたり減衰させることにより、土壌の透水性が所定の目標値となるように制御する技術を開発することを目的とする。特定の土壌や特定の条件のみで適用可能な技術に止まる危険を避けるため、様々な種類の土壌において微生物コントロールによる透水性制御法を開発する。 平成10年度においては、間隙構造の観察のために、試料が水分を含んだ状態で大気中で観察でき、しかも表面の凹凸がみられる原子間力顕微鏡を導入し、試験測定を開始した。原始間力顕微鏡は、現在金属の構造等を調べるために広く利用されているが、土粒子の表面を観察した例はなく、試料の固定法、焦点の合わせ方等に工夫をし、また習熟する必要がある。原子間力顕微鏡測定で一般的に使われている試料において測定を開始し、土粒子表面を観察する手法を開発中である。 また、本研究は様々な土において実験をするところにその意義がある。試料となる土を得るためには、様々な現場において球料を採取しなければならない。本年度は、他の研究プロジェクトと共同で、宮崎県都城市の圃場において、試料を採取した。この試料における測定は来年度以降の課題となるが、すでに別のプロジェクトで土壌微生物の生息と、微生物の生育環境である土壌物理性、土中ガスについて基礎的なデータが得られており、来年度以降の研究においては、本研究の主眼である室内実験に集中できる。
|