研究課題/領域番号 |
10556054
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石川 重雄 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30147673)
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研究分担者 |
堀野 治彦 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30212202)
河野 英一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20096811)
丸山 利輔 石川県立農業短期大学, 学長 (90026451)
長坂 貞郎 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (70318385)
齋藤 公三 日本大学, 生物資源科学部, 専任講師 (00130500)
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キーワード | 気温緩和効果 / リモートセンシング / 酸性雨 / 都市化気候 / ヒートアイランド / 農地の環境保全機能 / 多変量解析(重回帰分析) |
研究概要 |
1.水域の気温緩和と土地被覆の変化による気温変化について: 水域の気温緩和効果および土地被覆の変化による地表面温度変化等を明らかにするため、ランドサットTM画像データにより解析を行った。対象地域は北海道苫小牧と千歳周辺地域で、1984年9月と1999年8月のTMデータを使用した。その結果、苫小牧と千歳の中間に位置するウトナイ湖およびその周辺に点在する湿地帯は、当然のことながら水域の気温環境を示した。また、ウトナイ湖の湖際の気温は全般的に低い気温環境にあった。これは湖面蒸発等の気温緩和効果によるものと推測された。この気温緩和効果に関しては湖面面積との関係を含め、さらに吟味する予定である。 2.酸性雨およびその地域的特徴について: 酸性雨の地域的分布・特徴を明らかにするため、環境庁酸性雨調査資料の内、第3次調査(平成5年〜9年)資料を用いて、pHと他のNa^+、Mg^<2+>等の降下物について検討した。pHの5ヵ年間の平均は4.9であった。場所により上昇或いは低下のトレンドを示すところもみられたが、殆どが4.6〜5.1の範囲にある。イオン降下物としてのNa^+、Mg^<2+>は、夏季に低濃度、冬季に高濃度を示す周期性がみられ、特に日本海側全般に現れる傾向にあった。この原因は海塩粒子と考えられ、冬季の北西季節風の影響とも考えられた。詳細に関しては、さらに第1次、2次の調査資料と日大生物資源科学部内に設置したモデル観測ステーションの実測値等をもとに検討を加える予定である。 3.農地・林地の気象緩和機能の評価: 都市とその郊外にあたる対照地(田園地域)の気温差がどのような要因に支配されているかを検討した。その結果、Oke(1973)が指摘している都市人口の対数値と気温差の間には直線関係がみられないため、幾つかの要因、すなわち、都市の人口、都市とその対照地の標高差、都市から海岸までの距離を独立変数として重回帰分析した結果、平均気温差との間に高い相関がみられた。また、独立変数間に相関がみられたことから、独立変数の内、2要因を一定とした場合の偏相関係数を算出した。その結果、平均気温の場合には年平均・季節別・夏季夜温何れの場合でも、標高差の影響が大きく、ついで都市人口、影響の少ないのが海岸から都市までの距離であることが判明した。本研究の成果は、農業土木学会論文集に投稿し、掲載予定である。
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