研究概要 |
本研究では,(1)穂の分離・供給装置,(2)穂を認識する視覚センサ,(3)穂の主茎を把持し移動させるマニピュレータ,(4)下葉除去装置,(5)植え付け装置から構成されるロボットシステムの開発を行い,実用機の完成までを遂行することを目的としている。 本年度は視覚センサ,下葉切断装置,植え付け装置から構成される試作機を用いた実験を行い,作業速度,植え付け深さ,植え付け角度,生育状況,ならびに病気の発生の有無などの調査を行った。マニピュレータが下葉除去装置に穂を移動させる場合,穂の主茎の端を把持する必要がある。そこで,視覚センサによる穂の主茎端点の検出アルゴリズムを開発し実験を行った結果,認識率が96%,誤認識が0%であり,適切に把持位置を指示できた。また,穂の不要な下葉を除去に関しては2種類の装置を試作した。Y字カッタを用いた切断式装置では99%,せん断力によって葉を葉柄から離脱させるせん断式装置では85%の成功率をおさめた。成功率および速度では切断式装置が有利であり,葉を確実に除去することにおいてはせん断式が有利であった。植え付け装置は下葉を除去された10本の穂を同時にトレイに植え付ける構造とした。成功率は94%であり,深さ20mmから30mmの間に98%の穂を植え付けることができた。また,処理時間は6秒であった。両下葉切断装置で処理した穂の生育は良好で,人間による手挿しのものとの違いは見られなかったことより,切断式装置を使用した方が効率的であると考えられた。
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