研究概要 |
本研究では,サトウキビの品質評価用サンプル・ジュースの成分(N,P,Kなど)を近赤外分光分析装置で迅速に測定する方法を確立し,それに基づく生産管理・支援システムとその利用法の開発し,近赤外分光分析装置によるジュース成分の計測システムの開発,このシステムによる土壌分析および葉片成分分析,これらの分析結果の相互関係の確認,品質データと計測結果からなるデータベースの構築,生産管理・支援システムの構築とその利用法に関する検討,圃場状態を地図上に表示する地理情報システム(GIS)の開発,を行うことを目的としている。 初年度の成果として, (1) 近赤外分光分析装置によるジュース成分の計測システムの開発 本研究で購入した近赤外分光分析装置を用い,10種類以上のジュース成分を同時に計測した。サンプル数が少ないにも係わらず,糖度以外にK,Pなどいくつかの元素成分が一応の精度で測定できることを明らかにした。 (2) 品質データのデータベースの構築 南大東村における4年間の品質データを用いたデータベースを作成し,この地域における生産構造を解析した。 (3) 生産管理・支援システムの構築 システムの基本設計およびGISをベースとした仮想システムを検討し,GIS構築のために南大東村の地形図および圃場図を作成した。さらに,定点100圃場を中心に品質データのマッピングを行った。 (4) システムの利用法に関する検討 データベースを利用して栽培支援を行う方法を検討した。 本年度はNIRの利用法の検討が中心となり,その可能性が高いことを示すことができたが,検量線の作成に用いたサンプル数は50サンプルと少なく,品種・栽培方法・地域特性を考えると,その精度には大きな制限がある。今後,蔗汁のNIR推定精度とその範囲を向上させるため,検量線作成に用いるサンプル数を増やし,精度ならびに信頼性の向上を図る予定である。
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