研究概要 |
本研究は,サトウキビの品質評価用サンプル・ジュースの成分(N,P,Kなど)を近赤外分光分析装置(NIR)で迅速に測定する方法を確立し,それに基づく生産管理・支援システムとその利用法の開発を目的としている。具体的には,NIRによるジュース成分の計測システムの開発と分析,品質データと分析結果からなるデータベースの構築,生産管理・支援システムの構築とその利用法,数理解析手法の開発に関する検討,これらを地図上に展開する地理情報システム(GIS)の開発を目指している。 (1)NIRによって測定可能と判断される蔗汁中の各成分はsucrose,Mg,Ca,K,Sなどであった。前年においてもほぼ同様な結果を得ており測定可能性が確認できた。 (2)土壌成分についてもNIRによって測定可能と判断される成分は,TC,TN,pH,P,K,含水率であった。 と蔗汁中の成分についての関係が明らかになれば,効率的な土壌成分の改良によって甘蔗糖度の向上が期待できる. (3)NIRによる迅速な情報収集の結果を分析し,各肥料成分の過不足を判定し合理的な施肥管理技術を確立すれば,土壌成分の測定とサトウキビの栄養診断をNIRによって行うことができると判断した。 (4)比較的少数の品質データ,蔗汁成分データ,土壌成分データであっても,点表示あるいはサーフェイス表示によって分布の特徴が視覚的に把握できた.特に,地域的な特徴が明瞭に解析できるようになった.さらに,すべての圃場の単位収量,糖度などをマッピングすることによってより精密な評価が可能になった。 (5)南大東島で特徴的な傾向を示す農家を抽出しマッピングを行い,9年間の生産実績を評価するとともに問題点を明確にできることを示した。
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