研究課題
牛初期胚の割球を用いた核移植については、作出された双子および四つ子のクローン牛の発育について追跡調査を行い、クローン牛が斉一な発育を示すことと、クローン雌牛が妊孕性を有することを確認した。体細胞をもちいた核移植では、ドナー体細胞とレシピエント卵子の細胞周期の組合せについて再検討を加え、飢餓培養によりG0/G1期に同調させた卵丘細胞をM期除核卵子と融合させた核移植胚の発生率は高いが、S期に同調させた卵丘細胞と予め活性化処理した除核卵子(S期)の組合せでは殆ど発生しないことが確認された。また、これまでの牛の核移植の実験で得られた知見をもとに豚の体細胞核移植を行った結果、若い成熟卵子をレシピエントとして用い、電気刺激後にシクロへキシミド処理を施すことによって豚核移植胚の発生が改善され、牛の核移植胚に比べて発生率は低いものの、豚の体細胞核移植胚の約15%が胚盤胞へ発生することを確認できた。前胞状期卵胞をレシピエント卵子の供給源として活用する技術の開発では、卵胞の培養法とガラス化保存についてマウスの前胞状卵胞を用いて検討した。その結果、体外培養した卵胞由来の卵子は、体内発育卵胞由来卵子の発生率の約50%であるが、胚盤胞へ発生することが確認された。また、前胞状卵胞のガラス化保存では、卵胞構造を保ったまま機械的に採取した前胞状卵胞の生存率が、酵素処理で採取した卵胞に比べて遥かに高く、ガラス化保存した前胞状卵胞に由来する卵子が無処理の体外培養卵胞内の卵子とほぼ同等の割合で胚盤胞へ発生することが分かった。
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