研究概要 |
本研究は、 「低脂肪食肉」を安定に生産するための免疫化学的制御法を開発することを目的として、VLDLレセプター(VLDLR)およびリポプロテインレセプター(LPR)の抗体を作成するために以下の試験を行った。 (1)抗鶏VLDLR血清は鶏脂肪組織におけるVLDLRを特異的に認識することをWestern blot法で確認した。さらに脂肪細胞の細胞膜に本レセプターが存在することを免疫染色法で確認した。 (2)抗鶏VLDLR抗体を200μg/mlの濃度で脂肪細胞の培養を培地に添加しても、 ^<125>I-VLDLの細胞への取り込みはほとんど変化しなかった。しかし全てのリポプロテインレセプターのリガンドであるRecepter associate protein(RAP)を200μg/mlの濃度で添加したところ、^<125>IVLDLの取り込みが著しく減少した。 (3)各種リポプロテインレセプターの抗血清(VLDLR,LRP,LR11,LRP380)を用いて、脂肪組織におけるリポプロテインレセプター発現を検索したところ、VLDLRの他にLRPおよびLRP380が成長中の鶏脂肪組織に発現していることが確認された。しかし、その発現量はVLDLRに比べて小さいと推定された。 以上の結果から、脂肪細胞VLDLR抗体の作成には、VLDLRタンパク質の全長を用いるより、RAP認識部位およびその周辺配列を抗原とし用いることが適切であると推測された。 (4)肝臓に発現するLRPは未だその全貌が明らかではない。そこでこれまでの研究で申請者らがすでに明らかにしたLPRのアミノ酸配列より、RT-PCR法、3'-RACE法、コロニーハイブリダイゼーション法、リガンドスクリーニング法で本レセプターのクローニングを試みたが、現在のところ有効な配列は得られておらず、引き続きスクリーニングを進行中である。
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