研究課題/領域番号 |
10556064
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
辻 荘一 神戸大学, 農学部, 教授 (10031220)
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研究分担者 |
万年 英之 神戸大学, 農学部, 助手 (20263395)
向井 文雄 神戸大学, 農学部, 教授 (50093323)
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キーワード | 黒毛和種 / ミトコンドリアD-loop / 母系遺伝 / PCR-SSCP / 脂肪交雑 / ロース芯面積 |
研究概要 |
我国の代表的な肉牛品種である黒毛和種について、そのミトコンドリアの遺伝的変異を調査した。その結果、黒毛和種はミトコンドリアのD-loopの塩基配列から2グループ、5タイプに区分されることが示された。5タイプ間で枝肉形質を比較した所、タイプ4では脂肪交雑やロース芯面積で他のタイプより優れていることが示された。本研究では、この形質による黒毛和種の育種選抜の可能性を探るため、現場の繁殖集団についてこの事実の確認を行なう作業を試みた。この作業に先立って、数千頭規模のウシのミトコンドリアDNAD-loop領域の塩基配列によるタイピングを行なうため、PCR-SSCP法の導入を行ない、その分析を可能にした。また、ミトコンドリアは母系遺伝をするので、繁殖集団をその血統によりグループ化し、雌家系の構築することによって、母系を代表する個体のDNAを調査することで、分析頭数の削減を試みた。この方法を採用することで、宮崎県の繁殖集団では2889頭、兵庫県では4000頭、鳥取県を代表する家系は岩手県で入手したが、岩手県では1346頭の枝肉情報を用いた分析を行なった。現実の繁殖集団では予想していたような結果は得られなかった。その理由は、有意な効果の認められた集団が25ヶ月の集団であるに対して、現場の集団が平均28ヶ月を超えるものであったことが原因であると考えられた。実際の肥育牛は28ヶ月を越えていて、25ヶ月の該当牛を探すことは困難であったが、あえて、そのような牛群を兵庫県の集団から探し出し、分析を加えた。その結果、予想通り、タイフ4が脂肪交雑で他のタイプより優れている結果が得られた。今後、肉牛の肥育期間が短縮される傾向にあるので、ミトコンドリア・タイプの持つこの効果は今後の育種改良において、有用な指標のーつとなるものと考えられる。
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