研究概要 |
犬、家畜及び野生動物に対する安全性、経済性及び有効性の優れた経口ワクチンの開発と実用化を目的として、まず、現在わが国で使用されているワクチン製造株のRC-HL株及びその親株である西ヶ原株から各ゲノム遺伝子をクローニングする。これらに組換え及び点変異により弱毒並びに高い中和抗体を誘導するエピトープをコードする遺伝子領域をさらに加え、高力価で、強い抗体産性能を有する遺伝子補強型の狂犬病ウイルスの感染性cDNAを作出する。本年度は以下の結果が得られ、また実験が進行中である。 1、 RC-HL株とその親株の西ヶ原株の各ゲノム遺伝子を比較したところ、両株間の各コード領域の相同性は塩基配列で98.6%〜99.2%と良く保存されていた。しかし、G遺伝子では比較的低い相同性であった。中でも、その変異はアセチルコリン受容体との推定結合領域に集中していることに注目された。 2、 感染性cDNAの作出のために、N,P,L遺伝子をT7プロモーター遺伝子を保持した発現ベクターに組み込んだ。 3、 N,P,L遺伝子の至適発現量を検討するために、RC-HL株のゲノムの両端とルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだミニゲノムを構築中である。 4、 T7プロモーター遺伝子を保持した発現ベクターにRC-HL株の全遺伝子をカッセト方式で組み込み中である。
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