研究課題/領域番号 |
10556073
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
堀本 泰介 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (00222282)
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研究分担者 |
前田 健 山口大学, 農学部, 助教授 (90284273)
土屋 耕太郎 (財)日本生物科学研究所, 研究部, 研究員 (70207405)
田島 朋子 大阪府立大学, 農学部, 助手 (90173145)
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キーワード | ブタサイトメガロウイルス / ベータヘルペスウイルス / DNAポリメラーゼ |
研究概要 |
ブタサイトメガロウイルス(PCMV)は、線維芽培養細胞において巨細胞を形成するなどの生物性状によりベータヘルペスウイルス亜科に属するものと考えられているが、その遺伝子構造については分かっていない。本研究では、PCMVの遺伝子構造を解析するために、まず他のヘルペスウイルスとの相同性を検索することを目的とした。VanDEVANTERらのコンセンサスプライマーPCR法(J.Clin.Microbiol.34:1666-1671,1996)により、DNAポリメラーゼ遺伝子断片の増幅を試みたところ、447bpの遺伝子断片の増幅に成功した。PCR産物をプラスミドベクターに組み込んだ後、塩基配列を決定し、PCMV DNAポリメラーゼ断片のアミノ酸配列を、他のヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼデータベース配列とアラインし、遺伝的距離を解析した。その結果、PCMVはベータへルペスウイルス亜科に属するが、ヒトサイトメガロウイルス、マウスサイトメガロウイルスなどにより形成されるサブグループではなく、ヒトヘルベスウイルス6型および7型により形成されるサブグループに含まれることが判明した。ベータヘルペスウイルスに属するウイルスは、種特異性が非常に強いという特徴をもつ。特に、ヒトサイトメガロウイルスはHIV感染者、あるいは臓器移植者における日和見感染が大変問題となっているが、動物実験系が存在しないことが研究の進展の妨げとなっている。本研究により、PCMVはヒトヘルペスウイルス6型および7型に近縁であることが示され、PCMVの実験系はヒトサイトメガロウイルスのみならず、これら新しいヒトヘルペスウイルス感染症の有効な動物モデルとして将来貢献する可能性が示唆された。
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