研究課題/領域番号 |
10556073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀本 泰介 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00222282)
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研究分担者 |
五藤 秀男 東京大学, 医科学研究所, 助手
前田 健 山口大学, 農学部, 助教授 (90284273)
川口 寧 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60292984)
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キーワード | ブタサイトメガロウイルス / ベータヘルペスウイルス / 膜糖蛋白 |
研究概要 |
ブタ用多価組み換えウイルス生ワクチンを開発するためにはベクターウイルスを選択する必要がある。ブタに対して病原性が弱く、さらに体内で持続感染性を示すゲノムサイズの大きなヘルペスウイルスであるブタサイトメガロウイルス(PCMV)を第一候補として考えた。そのためには、PCMVの遺伝子構造、蛋白性状などの基礎知見の獲得が必須である。これまでにPCMVのDNAポリメラーゼ遺伝子、あるいは主要カプシッド遺伝子の同定に成功し、その周辺領域を含む塩基配列を決定した。これらの情報から、PCMVはベータヘルペスウイルス亜科の中のヒトヘルペスウイルス6型および7型に非常に近縁なウイルスであることを明らかにした。したがって、PCMVの系はベクターウイルスとしての利用のみならず、これらのヒトヘルペスウイルスの基礎研究における動物モデルとしての活用も考えられる。われわれはさらにPCMVの感染性を規定する主要な因子であるエンベロープ糖蛋白gBの遺伝子の同定にも成功した。現在はPCMV株間に見られるgB蛋白のheterogeneityとPCMVの免疫原性との関連性について検討を加えている。今後は、これらの解析を通じて得られたベクターウイルスとしてPCMVを利用するために必要なゲノム上の増殖非必須領域に外来遺伝子を挿入し、その抗原性について検討していく予定である。最近、臓器移植のドナー不足からブタの臓器のヒトへの移植が考えられているが、感染性因子の存在が問題視されている。PCMVもその一つの因子であり今後の検討課題に含まれている。われわれが報告したPCMVのウイルス学的知見がその課題に寄与するものと考えられる。
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