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1999 年度 実績報告書

ATP感受性K^+チャネルの選択的開閉薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10557002
研究機関秋田大学

研究代表者

稲垣 暢也  秋田大学, 医学部, 教授 (30241954)

研究分担者 岡田 敏一  ノバルテイスファーマ株式会社, 宝塚研究所, グループマネージャー(研究職)
古川 哲史  秋田大学, 医学部, 助教授 (80251552)
山田 勝也  秋田大学, 医学部, 助手 (40241666)
キーワードチアゾリジン / K_<ATP>チャネル / 神経細胞 / ノックアウトマウス / 黒質網様部 / 虚血
研究概要

最近、スルホニル尿素剤の他にも脂肪細胞のPPARγに作用してインスリン抵抗性を改善するチアゾリジン系の薬剤が経口血糖降下剤として開発された。しかしその作用に関しては不明な点が多い。申請者らは、膵β細胞型K_<ATP>(SUR1/Kir6.2)チャネルならびに心筋・骨格筋型K_<ATP>(SUR2A/Kir6.2)チャネルをそれぞれCOS-1細胞に再構成し、これらのチャネルに及ぼすチアゾリジン系薬剤の効果を検討した。その結果、代表的なチアゾリジン系薬剤であるトログリタゾンはこれらのチャネルを用量依存的に抑制し、30μM〜100μMで膵β細胞型K_<ATP>チャネルを、3μMで心筋・骨格筋型K_<ATP>チャネルを抑制した。その作用機序に関しては未だに不明であるが、トログリタゾンはインスリン分泌に促進的な効果をする反面、虚血性心疾患に対して悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
従来より、脳においてK_<ATP>チャネルは広く分布し、特に黒質において多量に発現していることが知られていたが、その分子基盤や機能的役割に関しては未だに不明である。そこで、黒質網様部の急性単離細胞を用い、パッチクランプ法を用いてwhole-cellにて電気生理学的記録を行った。その結果、黒質網様部神経細胞はスルホニル尿素剤であるトルブタミドにより閉鎖し、膵β細胞型のK_<ATP>チャネル開口薬であるジアゾキサイドにより開口した。さらに、K_<ATP>チャネルのKir6.2サブユニットのノックアウト(KO)マウス(千葉大学の清野教授のグループにより作成)の黒質網様部神経細胞においてはそのようなチャネル活性が認められなかった。以上の結果から、黒質網様部の神経細胞には膵β細胞型のK_<ATP>チャネルと極めて特性が類似するK_<ATP>チャネルが発現しており、痙攣発症など黒質機能の調節に深く関与している可能性が示唆された(投稿準備中)。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Suzuki,M.,Fujikura,K.,Kotake,K.,Inagaki,N., et al.,: "Immuno-localization of sulfonylurea receptor 1 in rat pancreas.-"Diabetologia. 42. 1204-1211 (1999)

  • [文献書誌] Sunaga,Y.,Inagaki,N.,et al.,: "Troglitazone but not pioglitazone affects ATP-sensitive K^+ channel activity"Eur.J.Pharmacol.. 381. 71-76 (1999)

  • [文献書誌] Yamada,K.,Nakata,M.,Horimoto,N.,Saito,M.,Matuoka,H.and Inagaki,N.: "Measurement of glucose uptake and intracellular calcium concentration in single,living pancreatic β-cells"J.Biol.Chem.. (in press.). (2000)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "ATP感受性K^+チャネル"医学のあゆみ. 188. 309-313 (1999)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "受容体型ABCタンパク質SUR"最新医学. 54. 30-37 (1999)

  • [文献書誌] 稲垣暢也: "膵β細胞イオンチャネルの分子生物学"Diabetes Frontier. 11. 105-111 (2000)

  • [文献書誌] Miki,T., Inagaki,N., et al.: "Potassium ion channels.Structure and function of ATP-sensitive potassium channels."Academic Press. 492, (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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