研究課題/領域番号 |
10557004
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内匠 透 神戸大学, 医学部, 講師 (00222092)
|
研究分担者 |
芝野 俊郎 第一製薬(株), 創薬第二研究所, 主任研究員
松田 博子 関西医科大学, 医学部, 教授 (10181736)
|
キーワード | 不整脈 / 心筋 / トランスジェニックマウス / Kチャネル |
研究概要 |
不整脈モデルマウスを作成する目的で、心筋特異的プロモーター(α-myosin heavy chain)の下流にIskのドミナントデガテイブ変異体(D77N)を結合したトランスジェニックベクターを構築し、トランスジェニックマウスを作製中である。現在、7系統のトランスジェニックにおいて導入遺伝子が確認されている。 一方、in vitro実験の一つとして、Isk変異体cRNAをマウス心筋細胞に導入することを試みた。微小電極による圧注入や遺伝子銃による注入を試みたが、成功しなかったため、cRNAではなく、cDNAをliposome法により細胞内に導入した。liposomeを用いた場合でも、培養心筋細胞への導入は他の培養細胞に比べ、効率が非常に悪かった。各種liposomeを試したところ、Fugene6による導入が最も効率がよかった(1-2%)。rat Iskの変異体遺伝子(D77N)をgreenfluorescent protein(GFP)遺伝子を持つプラスミド(pTracer-CMV2)に挿入後、transfectionを行い、GFPが発現している細胞で全細胞電流を記録した。また、Iskのantisense oligonucleotideとGFP遺伝子のcotransfectionを行い、同様に全細胞電流を記録した。遺伝子導入していない細胞では、ゆっくり活性化する遅延整流K電流(Iks)が観察された。antisense oligonucleotidc導入細胞では遅延整流K電流が記録されないか、あるいは、速く活性化する遅延整流K電流(Ikr)が観察された。また、D77N変異体遺伝子導入細胞では、遅延整流Kチャネルの活性化と脱活性化時間の短縮が観察され、電流はIkr電流の特異的な拮抗薬であるE4031で一部抑制された。以上の結果から、Isk遺伝子が遅延整流K電流のうち活性化の遅いIksの発現に強く関与することが、Kチャネルが実際に機能発現している心筋細胞において明らかになった。Isk蛋白がKvLQT1チャネル蛋白と連合してチャネル活性を示すことが、示唆される。
|