研究概要 |
本研究は、新しい生理機能画像の先駆けとして、二量子フィルターNMR法とスペクトロスコピック画像法とを組み合わせることにより、生体内の「構造化」された水分子を選択的に画像化することを目的とし、以下の結果を得た。 1、 家兎筋鍵移行部の結合水画像の測定 家兎より摘出した腓腹筋アキレス腱移行部組織を標本として、15mm径H-1およびH-2プローブ(自作)により、組織内の結合水の画像化を行った。 テルアビブ大学との共同実験およびその後の研究により、完全なスライス選択二量子磁気共鳴画像法の開発に成功した。 並行して、冠動脈を用い、荷重による組織構造の変化がどのように結合水の状態に変化をもたらし、二量子磁気共鳴画像法による結合水画像に変化をもたらすかを実験した。 2、 組織の変性・修復過程による分子環境変化の画像化 家兎を用いアキレス腱断裂修復モデルを作成した。腱修復過程の測定のためには、下腿全体の測定が適切であるので、新たに、25mm径H-1プローブについて、スライス選択二量子磁気共鳴画像法の最適化を行った。摘出下腿を標本として、断裂部の修復過程を磁場反転画像法と二量子磁気共鳴画像法とで、経時的に測定しつつある。全経過が数カ月に及ぶために、未だ例数が少なく、現時点では詳細な報告を行えないが、1,999年夏前の実験終了を目指してデータ収集を行っている。一般臨床で用いられている磁場反転画像法に対応した二量子磁気共鳴画像データを採り、その対応関係を明らかにできるものと考えている。 3、 in vivo測定用35mm径H-1/H-2プローブの設計・作成・調整 家兎の筋腱移行部や関節軟骨のin vivo測定を行うために、35mm径H-1およびH-2プローブの設計・作成・調整に取りかかっている。摘出臓器測定に用いた25mm径プローブと比較しつつ、測定条件・測定精度・感度を検討中である。
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