研究課題/領域番号 |
10557006
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 宣明 金沢大学, 工学部, 教授 (50019634)
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研究分担者 |
山本 勝信 ビーエーエス(株), アプリケーションサポート部, 部長
川西 琢也 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80234087)
林 良茂 金沢大学, 工学部, 教授 (60019750)
中村 静夫 石川県工業試験場, 化学食品部, 研究主幹
高木 厚司 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30243934)
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キーワード | バイオセンサ / 固定化電極 / 微小透析 / 酵素 / グルコースオキシダーゼ / 蛍光偏光 / エストロゲン受容体 / 電子メディエータ |
研究概要 |
1.微小透析バイオセンサの開発 (1)酸化電流値のグルコース濃度依存性 グルコース濃度依存性を調べた結果、酸化電流値はグルコース濃度に比例して増加した。検出限界濃度は0.01mMであり、また5mM以上では直線性が認められなくなった。酵素固定化型の電極と比較して電流値の再現性は優れていた。 (2)溶存酸素依存性と電子メディエータの導入 グルコースオキシダーゼはその反応過程で酸素を必要とする。したがって低溶存酸素の状態では、センサの感度が低下する可能性がある。予め窒素ガスをバブリングすることで溶存酸素濃度を低下させた場合、感度の低下と応答時間に対する時定数の増加が見られた。フェロセンを電子メディエータとして白金電極とグルコースオキシダーゼの間に介在させることで、低溶存酸素領域でもセンサの感度を維持することができた。 (3)pHの影響 酵素には至適pHがあり、センサの識別素子として用いる場合にはpHの影響を調べる必要がある。そこでグルコースオキシダーゼ溶液をpH=5.6、試料溶液のグルコース濃度を1.0mMに設定し、溶液中のリン酸緩衝液のpH5.6〜8.0まで変化させ、試料溶液中のpHの影響を調べた。その結果、pH5.6から7.5の範囲において試料溶液中のpHの影響を受けないことが明らかとなった。これは、酵素が透析膜によって外液のpH変化から保護されているためと考えられる。 2.蛍光偏光度エストロゲン受容体バインディングアッセイ 生体本来のエストロゲン受容体の代わりに遺伝子組み替えによって精製したエストロゲンレセプター(hrER)と蛍光物質を結合した蛍光エストロゲン(ES1)は強く結合して複合体を形成し、このとき複合体は高い蛍光偏光度を示す。この複合体溶液にテスト化合物を添加した場合、テスト化合物がエストロゲン受容体に親和性を持つならば、テスト化合物とES1との間で競合反応が起こり、テスト化合物がES1と置き換わってhrERに結合する。この反応によって蛍光偏光度が変化することから、テスト化合物を添加する前後の蛍光偏光度を測定することによって、化学物質のhrERへの親和性を評価できる事が明らかとなった。
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