研究課題/領域番号 |
10557015
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 典夫 東北大学, 医学部, 教授 (00004606)
|
研究分担者 |
小林 聡 東北大学, 医学部, 助手 (50292214)
竹谷 茂 関西医科大学, 医学部, 助教授 (20121949)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50166823)
|
キーワード | 5-アミノレブリン酸合成酵素 / ヘム生合成 / 遺伝子改変マウス / 鉄芽球性貧血 / 鉄代謝 / 環状鉄芽球 / 赤血球分化 |
研究概要 |
本年度は、x染色体連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)の原因遺伝子であることが判明しているヘム合成系律速酵素の赤血球型5.アミノレブリン酸合成酵素(ALAS一E)の遺伝子ターゲティング実験を行い、以下のような結果が得られた。1)キメラマウスより得られALAS-E-/+(♀)へテロマウスと野生型(♂)との交配により得られるALAS-E欠失体(ALAS-E-/ly)は胎生11〜11.5日で死亡した。ALAS-E-/11は卵黄嚢および胎児とも蒼白で、全くヘモグロビンは観察されないものの、血管および血球は正常に認められた。組織切片におけるベンチジン染色でもヘモグロビン陽性細胞は全く観察されなかった。一方、胎児性グロビンタンパク質は免疫染色により発現を確認したことから、ALAS-E欠失マウスの死因は一次造血組織でのヘム生合成不能によるヘモグロビン欠乏性貧血と推定される。このことからハウスキーパー型アイソザイムであるALAS-Nが一次造血組織においてALAS-E機能を代償できないことが明らかとなった。2)ALAS-E-/y胎児の有核赤血球に環状鉄芽球とは異なる様態の細胞質に一様な鉄の沈着が観察された。一方、雄マウス由来のES細胞株を用いたALAS-E欠失ES細胞からキメラマウスを作成したところ、骨髄中にXLSAで観察される典型的な環状鉄芽球が確認された。ALAS-EはX染色体上にコードされており、ES細胞自体が完全なALAS-E欠失体となるため、キメラマウスのES由来細胞が環状鉄芽球となったと考えられる。このことから、一次および二次造血における細胞内鉄代謝はヘムによる制御を受けていることが示唆された。今後、ALAS-E遺伝子破壊マウスに対してヒトXLSA患者由来のALAS-E変異体を用いたレスキュー実験を行い、動物モデルの確立を目差す。
|