研究課題
基盤研究(B)
アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害して炎症誘起性のプロスタグランジン(PG)の合成を抑制する。現在知られている2つのCOXアイソザイムの非ステロイド或いは、ステロイド性抗炎症薬による抑制機構と炎症との関連を明らかにし、得られた知見を胃障害のない新たな抗炎症薬開発に応用することを目的に研究を行い下記の成果を得た。1)LPSやTPAによるCOX-2の発現が、抗炎症性ステロイド・デキサメタゾンや15d-PGJ_2によって抑制されるが、その程度はグルココルチコイド受容体やPPAR_γの発現レベルに依存することを見出した。2)NIH3T3を使ってCOX-1とCOX-2の片方のみを発現する系を確立し、細胞中に両アイソザイムの活性阻害物質が存在することを見出した。3)天然ポリフェノール化合物のレスベラトロール、カフェイン酸フェネチルエステル、フロムンが、COX-2の誘導を抑制することを見出しその機構を明らかにした。4)COX-1とCOX-2の活性を同レベルで抑制し、胃腸障害のない阻害剤を見出した。5)マウス骨芽細胞MC3T3-E1におけるCOX-2の誘導に細胞自身が生合成したPGが関与することが関与することを見出した。さらに解析を進め、PGF受容体とTNFαによるPGI_2受容体による誘導を見出した。6)PG産生において、即時応答ではCOX-1が、遅発応答ではCOX-2が選択的に機能することを見出した。7)アラキドン酸を供給する細胞質ホスホリパーゼA_2(PLA_2)と特定の分泌性PLA_2(sPLA_2-IIA,V)とは共に即時及び遅発PG産生に関与し、即時反応ではCOX-1とCOX-2の両者と、遅発反応ではCOX-2のみと機能関連することを明らかにした。また、sPLA_2-IIDとsPLA_2-Xが特にCOX-2と機能関連し得る分子種であることを明らかにした。
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