研究課題/領域番号 |
10557023
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | (財)沖中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
山田 明 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員 (70175660)
|
研究分担者 |
二瓶 宏 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30124308)
本田 一穂 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10256505)
原 茂子 財団法人 冲中記念成人病研究所, 研究員
|
キーワード | IgA nephropathy / Etiology / Gram-negative bacteria / Acyl carrier protein / Mucosal immunity |
研究概要 |
私共はIgA免疫複合物病の仮説に立ち、糸球体に沈着したIgA抗体に対応する抗原を探索すべく、二次性IgA腎症である肝硬変性IgA腎症の解剖例の腎臓から糸球体の単離を試みた。13例からステンレスメッシュ法にて糸球体を単離した。溶出したIgA量は糸球体1個あたり70-880pgと算定された。昨年度の報告と同様にグラム陰性細菌の細胞膜分画を用いて、溶出IgAがウェスタンブロット法で細胞膜蛋白と特異的に結合するか否かを検討した。昨年度のマウスIgA腎症active modelで確認した17kD蛋白と上記の溶出IgAも特異的に結合した。17kD蛋白のアミノ酸シーケンスは、大腸菌のacyl carrier protein(ACP)と96%と相同性を認めた。昨年度に作成した17kDに対する単クローン抗体(ローダミン)とヒトIgA抗体(FITC)を用いた二重染色法で、13例の肝硬変性IgA腎症の糸球体について検討すると、12例で両者の沈着はほぼ同一の分布を示した。以上の知見と昨年度の結果より、一次性ならびに肝硬変性IgA腎症の成因として17kD(ACP)が共通の成因である可能性が強く示唆された。次にACPに対するIgA型の単クローン抗体作成を試みた。この試みの目的は、ACPに対するIgA型の単クローン抗体産生ハイブリドーマを作成することである。BALB/cを用いた通常のin vivo法の他にin vitro immunization法を試みた。ACPに対するIgA型抗体価の上昇を得るには、in vivo法での抗原刺激の後にin vitroにて脾臓由来細胞にTGF-βとIL-5を添加した培養系においてアイソタイプクラススイッチを誘導する方法がより効果的であることが分かった。更にC3H/HeNとBALB/cマウスにおいてin vivo法でコレラ毒を加えてACPを経口投与すると、後者において高頻度に血中ならびに消化液中のACPに対するIgA抗体価の上昇を認めた。この系はACPに対するIgA型単クローン抗体作成と分泌型IgA抗体産生のモデルとなり、薬物によるIgA型抗体産生の制御モデルとなりうると考える。
|