研究課題/領域番号 |
10557023
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
山田 明 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (70175660)
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研究分担者 |
二瓶 宏 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30124308)
本田 一穂 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10256505)
原 茂子 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
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キーワード | IgA hephropathy / Etiology / Gram-negative bacteria / acyl carrier protein / mucosal immunity |
研究概要 |
我々はIgA腎症が、特定のIgAアイソタイプを構成成分とする免疫複合物病であるとの仮説に立ち、IgA抗体の抗原物質を探索している。肝硬変性糸球体腎炎の糸球体沈着IgA抗体が、グラム陰性細菌の細胞膜にあって脂肪酸生合成に必須であるacyl carrier protein(ACP)と特異的に反応することを前年度報告した。我々が開発したACPに対するIgG2bサブタイプ抗体による免疫組織学的検討では、IgA腎症69例と非IgA腎症77例の腎生検糸球体陽性率は前者は85.5%、後者は6.8%で、統計的に高い有意差を示し、平成10年度の報告内容を支持する結果となった。BALB/cマウスにてACPに対するIgA型単クローン抗体を作成中で、現在6株のIgA型クローンと3株のIgG型の単クローン抗体を得ている。アルカリフォスファターゼ発色によるサンドウィッチELISA法で何れも高力価(1280-40960倍)を示した。これらの抗原とIgA型単クローン抗体の抗原抗体複合物を様々な比率にてBALB/cマウスに静注し、急性のIgA腎症passive modelを作成中である。この際IgG型抗体の関与も検討しており、従来のIgA腎症の免疫複合物の起炎性について、より定量的に検討している。現在各抗体に対応するACP分子内の各エピトープについて特定中である。大腸菌ACPの一次構造の分子量は8,860であるが、電気泳動的には分子量マーカーの17kDから20kDに泳動され、ユニークで、多量体は証明されていない。平成10年度報告にてACPは熱誘導性であることを述べたが、ストレス蛋白ファミリーに共通するプロモーターは証明されていない。グラム陰性菌に共通するACPがIgA腎症の病因の主因であるとすると、扁桃炎のみならず粘膜免疫全般、特に消化管、気道系粘膜からの抗原進入に対する予防法の開発ならびにACPを用いた血清診断薬の開発につながるものと考える。
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