研究課題/領域番号 |
10557029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部・寄生虫学, 教授 (70054020)
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研究分担者 |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部・寄生虫学, 助手 (70155670)
岡本 宗裕 鳥取大学, 農学部獣医学科・実験動物機能学, 助教授 (70177096)
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所・分子原虫学, 教授 (80142305)
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部・動物実験施設, 教務職員 (70109388)
迫 康仁 旭川医科大学, 医学部・寄生虫学, 助手 (40312459)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 新興・再興感染症 / エキノコックス症 / 多包虫症 / 単包虫症 / 有鉤嚢虫症 / 鑑別血清診断法 / ミトコンドリアDNA / 遺伝子診断法 / molecular diagnosis |
研究概要 |
新興・再興感染症として世界的規模で流行、汚染地域拡大が年々深刻化してきている寄生虫病にテニア科条虫の幼虫が人林ならびに家畜動物に寄生することによって惹起される包虫症(単包虫症、多包虫症)と嚢虫症とがある。いずれも難治性寄生虫疾患で、死の転帰を取ることが非常に多く、早期鑑別診断法の確立は国際的ニーズが高い緊急を要する研究課題である。本研究ではこれらの鑑別を要する寄生虫病について旭川医科大学寄生虫学講座におけるこれまでの実績に基づく国際共同研究を展開することによって(1)世界的流行の現状把握につとめ、(2)多包虫症、単包虫症、有鉤嚢虫症それぞれの鑑別診断法の原法をまず確立した。その上で(3)鑑別診断用抗原精製法に検討を加え、(4)遺伝子組換え抗原作製を試み、(5)国際的に最も信頼性が高いと評価される多包虫症、単包虫症、有鉤嚢虫症それぞれについて血清学的鑑別診断法を確立している。これらの成績に基づき(6)世界各地における流行地域での疫学調査研究への参加を要請されている。さらに(7)病巣から摘出されるエキノコックス標本あるいは嚢虫標本、さらには人体から排出されるテニア科条虫受胎片節、虫卵などを用いた近伝子鑑別診断法の確立の基礎となる多包虫、有鉤嚢虫ミトコンドリアDNA全塩基配列の解読に世界で最初に成功し、(8)条虫が利用しているユニ―クな遺伝子暗号の読み始め(ATGとGTG)と読み終えに利用しているコドン(TAGとTAA)を発見したことが最大の 基礎研究成果である。(9)分子疫学研究あるいは(10)寄生虫と宿主の共進化と世界拡散についての遺伝子レべルの研究展開が今後の基礎研究課題である。昨年9月にアルゼンチンて開催された第19回国際エキノコックス症会議に本研究代表者、伊藤亮が「多包虫症単包虫症、有鉤嚢虫症についての血清学的鑑別診断法」と題する招聘講演を要請され、この発表論文が会議における最優秀論文賞に選ばれている。
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