研究課題
基盤研究(B)
インフルエンザの感染予防の主役はワクチンであったが、ウイルスの高変異性から、その有効性が疑問とされている。本研究において我々はブタ肺より2種のトリプターゼクララ様プロテアーゼを見出し、精製を行うと共に、その遺伝子構造を明らかにした。精製されたトリプシン型プロテアーゼは、30kDaと32kDaで、0.5MNaClで抽出可能な比較的疎水性の高い酵素であった。精製された酵素は、トリプターゼクララと同様、ベンザミジン、大豆トリプシンインヒビター、アプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤に高い親和性を示したが、トリプターゼクララと異なり、ヒト粘液プロテアーゼ阻害剤(MPI)にはほとんど親和性を示さなかった。両酵素の遺伝子クローニングの結果、両者はヒト肥満細胞トリプターゼに類似し約70%のホモロジーを示した。一方両酵素間のホモロジーは53%であった。両者とも、分泌型プロテアーゼとしてのシグナル配列をアミノ末端側に持ち、活性中心構造は類似していた。ただし30kDaのプロテアーゼが4量体を形成するのに比して32kDaは単量体で細胞中に存在していることが明らかとなった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)