研究課題/領域番号 |
10557033
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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研究分担者 |
田代 眞人 国立感染症研, ウイルス製剤部, 部長 (90111343)
井上 雅広 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (00232562)
唐渡 孝枝 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (60108876)
山下 誠 三共株式会社, 第二生物研究所, 研究員
別府 良人 東京田辺製薬, プロジェクト推進室, 研究員
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キーワード | インフルエンザウイルス / トリプターゼクララ / トリプシン / センダイウイルス / プラスミン / 分泌型プロテアーゼ / 気道 / 肺胞 |
研究概要 |
ヒトのインフルエンザウイルスは、細胞からの出芽時には感染性を持たないが、ヒトの気道あるいは肺に局在するトリプシン型プロテアーゼにより、ウイルスの外膜糖蛋白質が限定分解を受け、初めて感染性を獲得することが知られている。さらにヒトではウイルスに対する個体の感染感受性が異なったり、様々なストレス下にウイルスに対する感染感受性が変化したり、感染の増悪が生ずるが、そのような状況におけるウイルス活性化プロテアーゼについて、これまでほとんど知られていない現状にある。本年度の研究では、感染実験動物としてラットを用いたときに、これまで我々が見出してきたウイルス活性化プロテアーゼとしてのトリプターゼクララファミリーのプロテアーゼ以外に、気道の分泌細胞に検出されるミニプラスミンと、肺胞の基底膜細胞に異所性に局在するアンオニックトリプシンが新たに検出され、これ等のプロテアーゼが、ウイルス感染の引き金と、感染増悪機序に働いていることが明らかになった。なおミニプラスミンは、プラスミンが顆粒球由来のエラスターゼで限定分解を受けたさいに産生されるプロテアーゼある。一方アンオニックトリプシンは、ウイルスの感染とともに何らかの機序でその発現量が増加することが明らかになった。今後インフルエンザ感染を、初期感染期と感染増悪期に分けて、それぞれの時期でのウイルス活性化プロテアーゼ群の解明と、活性化プロテアーゼに合致したインヒビターの投与がインフルエンザ感染の治療に重要であることが示された。
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