研究課題/領域番号 |
10557036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
刈米 アイ 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (50114450)
植原 昭治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60272499)
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | IL-5 / B-1 / 腸管粘膜固有リンパ層 / クラス変換 / トレランス / コレラトキシン / γα型 T細胞 / リポ多糖体 |
研究概要 |
本研究は、経口免疫によるトレランス誘導機構、IgA産生の制御機構を固体レベルで明らかにすることを目的としている。平成10年度と11年度の研究期間に以下の研究成果をあげることが出来た。(1)IL-5レセプターα鎖遺伝子破壊(IL-5Rα^<-1->)マウスの血中IgA値は野生型マウスのそれと差がないのに、分泌液中のIgA値はIL-5Rα^<-1>マウスで著明に低いことが分かった。腸管粘膜リンパ固有層のB-1細胞の割合やIgA産生細胞数もIL-5Rα^<-1>で減少していた。IL-5Rα^<-1>マウスの腸管粘膜リンパ固有層内のsIgA陽性B-1細胞はIL-5で刺激してもIgA産生が極めて低かった。このことより、IL-5に応答するIgA産生前駆細胞は通常のB(B-2)細胞と異なることが初めてわかった。バイエル板B細胞はこの限りではなかった。以上より、IgA産生の実効組織に存在するIgA産生前駆細胞はB-1細胞であり、その発生やIgA産生細胞への分化にIL-5が極めて重要であることが初めて明らかになった。(2)sIgD陽性脾臓B細胞を抗CD38抗体、CS/2とIL-5で刺激するとIgG1の産生が誘導されるが、IgA産生は見られない。しかし、腹腔内B細胞をCS/2とIL-5で刺激するとIgG1のみならずIgA産生が見られた。CD38遺伝子欠損マウスでIgA産生に異常は見られなかったが、腹腔内のB-1細胞数の減少が見られた。これらのことより、B細胞の局在する解剖学的な部位により、B細胞のIgA産生誘導シグナルが異なることがわかった。(3)CS/2刺激により非翻訳型γ1mRNAの転写が起こるが、μからγ1への遺伝子組み替えは起こらない。しかし、CS/2刺激されたB細胞をIL-5で刺激するとμからγ1への遺伝子組み替えが惹起された。(4)B細胞の増殖や分化を制御するIL-5Rα鎖の細胞内の機能ドメインを決定するため、IL-5Rα^<-1->マウスに野生型および変異IL-5Rα鎖(細胞内のドメインに欠失領域を挿入)遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製した。IL-5Rα鎖細胞膜直下のブロリンに富むドメインを欠失するとIL-5依存性のB細胞の増殖やIgM産生が起こらないことが示された。IL-5Rα鎖細胞内のc末端側を欠失するとμ鎖からγ1鎖への遺伝子組み替えが惹起されないことを初めて示した。(5)卵白アルブミン(OVA)を大量にアジェバントなしで経口投与すると、その後に有効なOVA免疫に対して応答性のT細胞の免疫はできなかった。しかし、コレラ毒素をOVAと共に投与すると著明なIgA産生が見られた。IL-5Rα^<-1->マウスを同様の処置をするとIgA産生が減弱した。
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