研究概要 |
平成12年度には,3年間に渡る研究の最終年度として,データ収集者会議を京都大学医療技術短期大学部において開催し,データ収集協力者によって収集された事例の検討会を開催した.本研究において翻訳した「作業機能自己評価」の改訂版である「作業に関する自己評価(OSA)」を用いて,協業によって評価を実施し,協業によって治療計画を進めた事例と,この評価法を用いずに協業を進めた事例について検討した.その結果,特にOSAという評価法を用いなくとも,協業という考え方が明確になっていれば協業を進めることができることが明らかになった.しかし同時に,セラピスト主体の評価だけでは協業を進めることが困難であることも明らかになった.つまり,協業を推進するには,対象者本人の視点を捕らえようとする何らかの働きかけが必要であるということである.一般的には,こうした働きかけは面接による.本研究では「作業遂行歴面接改訂版OPHI-II」の翻訳版を用いた事例も示された.面接のほかには,OSAのようなチェックリストをつけてもらってからの話し合いによる.OSAなどの評価法を用いることは,セラピストの視点を患者に開示することに繋がり,それだけ協業ということか明確になるという利点があった.また,こうした評価法の利用は,作業療法学生に早期から協業という事柄を教育する上で役立つことも示された. なお,検討会で検討した事例を最終報告書にまとめるとともに,関連学会および機関誌に投稿中である.
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