研究課題/領域番号 |
10557049
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
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研究分担者 |
田中 利明 東レ, 基礎研究所, 主任研究員
河崎 寛 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80280957)
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
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キーワード | CD26 / DPPIV / RANTES / MIP-1β / SDF-1α / リンパ球遊走 / HIV感染 |
研究概要 |
CD26分子はメモリーT細胞の活性化や機能の鍵となる分子でDPPIV酵素活性を有し、この酵素はN末端から2番目のプロリンのC末端側ペプチドを切断することで知られているが、免疫に関与するDPPIVの基質は明らかでなかった。RANTES,MIP-1βなど多くのケモカインはN末端から2番目がプロリンであり、DPPIV酵素の基質となりうる。そこでCD26/DPPIVとケモカインの相互作用がリンパ球遊走及びHIV感染に及ぼす影響を検討した。 野生型可溶性CD26(DPPIV+)の存在下でRANTESによるT細胞の遊走が増加した。しかし変異型可溶性CD26(mCD26)では遊走亢進は認められなかった。このようにCD26/DPPIVはRANTESによるT細胞の遊走を亢進させた。RANTESとsCD26を反応させ、アミノ酸配列を検討したところRANTESはN末端の2番目のプロリンのところで切断された。RANTESとCD26/DPPIVとの相互作用のM-tropicウイルス(SF162株)の細胞侵入における影響については、RANTESのみの場合と比較して抑制作用の変化は認められなかった。 RANTES同様にSDF-1αとsCD26を反応させ、アミノ酸配列を検討したところ、N末端の2番目のプロリンのC末端側で切断された。この様にRANTES,SDF-1αともにDPPIVの基質であることが明らかになった。SDF-1αとCD26/DPPIVの相互作用がT-tropicウイルス(NL43株)感染における影響を検討した。SDF-1αによるHIVの細胞侵入の阻害はsCD26を添加することによりその阻害活性は失われた。さらにリンパ球遊走能の亢進作用も消失した。この様にCD26/DPPIVはin vivoにおいてHIV感染や炎症反応を制御する分子として重要であることが示唆された。
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