ELISPOT法等の直接産生細胞検出法は、培養上清中の産生物を測定するよりも10倍以上高感度であり、約10^4細胞/wellと少量のサンプルで測定できるが、SPOT等の計数をマニュアルの目視法で行わなければならないため、極めて労力を要す。また計数も主観的である。そこで、これらの欠点(労力大、主観的計測)を克服するため、最近開発された高度かつ高感度の生物分野用イメージング&画像解析システムとマイクロプレート移動装置を用いて直接細胞検出法の自動化を行い、液性および細胞性免疫機能の高感度自動測定装置を開発することを試みた。 まず、ELISPOT法で、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体産生細胞のSPOTを形成させ、そのウェル底面の画像を画像解析システムに入力し、濃淡処理を行ってSPOTを明瞭にし、一定の濃度と面積を有するSPOTのみを抽出描写する二値化を行った。この操作により、目視法に比し、感度は低下するが、客観性が増す。しかし、底面の非特異的な発色が、測定間により異なるため、この影響をなくす方法として、ELISPOT法で、単核球を培養後(酵素標識抗体を添加せず)基質のみを添加したウェルの底面の発色度を、バックグランドとして測定対象のウェル底面の発色度から差し引く方法を考案した。そして、このSPOTの計数法と目視法とを比較したところ、両者はよく相関していたが、画像解析システムによる方法の方が感度不良であった。さらに、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体産生細胞が形成した個々のSPOTの特徴(大きさや色の濃淡など)を解析した総和が、RIA法で測定した培養上清中の甲状腺ペルオキシダーゼ抗体産生量と相関するか否かを、画像解析システムの条件を工夫しながら、現在検討中である。
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