ELISPOT法等の直接産生細胞検出法は、高感度で少量のサンプルで測定できるが、SPOTの計数を目視法で行わなければならないため、極めて労力を要し計数も主観的である。そこで、画像解析システムを用いて直接細胞検出法の検討を行い、免疫機能の高感度自動測定装置を開発することを試みた。まず、ELISPOT法で、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体産生細胞のSPOTを形成させ、その画像を画像解析システムで濃淡処理を行ってSPOTを明瞭にし、一定の濃度と面積を有するSPOTのみを抽出描写する二値化を行った。この操作により、目視法より感度は低下するが客観性が増した。また底面の非特異的な発色が測定間により異なる問題を克服するため、ウェル底面のバックグランドを測定対象の発色度から差し引く方法を考案した。この方法によるSPOTの計数法を目視法と比較したところ、両者はよく相関したが感度は低下した。また二値化を行っても背景が完全にクリアにならないため、個々のSPOTの特徴(大きさや色の濃淡など)を解析した総和を求めるのが困難であった。そこで、SPOTの特徴の総和でなくSPOTの数と培養上清中の甲状腺ペルオキシダーゼ抗体産生量の相関を求めたが、両者に相関を認めた。サイトカイン産生細胞で蛍光SPOT法の開発を試みたが、SPOTの蛍光強度が弱く計数が困難で定量性に問題があった。次に、無刺激の自然な状態で産生される微量の可溶性膜蛋白産生細胞を検出するためのELISPOT法を開発したが、これらのSPOT数も培養上清中の可溶性膜蛋白濃度と相関した。この方法を用いて妊娠・出産後の可溶性膜蛋白産生細胞数を調べたところ、sCD4産生細胞数は変動せずsCD8産生細胞数が妊娠中期および後期に減少した。以上、画像解析システムを用いた直接細胞検出法の検討を行い、高感度免疫測定法自動測定装置開発への道を開いた。
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