研究課題/領域番号 |
10557055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森脇 久隆 岐阜大学, 医学部, 教授 (50174470)
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研究分担者 |
白鳥 義宗 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員
奥野 正隆 岐阜大学, 医学部, 助手 (10204140)
大森 正英 東海女子大学, バイオサイエンスセンター, 教授 (30278212)
四童子 好広 応用生化学研究所, 副部長 (00111518)
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キーワード | レチノイド / 肝癌 / 化学予防 / クローン除去 / レチノイドX受容体 / 遺伝子変異 / 分子標的 |
研究概要 |
我々はレチノイドによる肝発癌抑制をテーマとして、一貫して研究を進めてきた。その結果、根治療法後の二次肝癌の発生を有意に抑制できることを1996年に発表し得た(N Engl J Med 334:1561-1567,1996)。またその作用機序をさらに明らかにするため、本年度は微細な肝癌細胞の移植の系を確立し,分化誘導とアポトーシス誘導の機序の検討を進めた。本年度の重要な成績は、以下の2点である。 1 臨床成績のさらに長期間の検討により、非環式レチノイドが二次肝癌の発生を抑制するのみならず、それにより患者の生命予後をも改善することを明らかにした(N Engl J Med,(in press)1998)。 2 その作用機序に関しては、非環式レチノイドの責任受容体である核レチノイドXレセプター(RXR)のプロセッシングに肝癌組織では変異を来していること、分化誘導後のゆっくりしたアポトーシス(slow apoptosis)はカスパーゼを介して起こることを明らかにした。 これらの知見は、変異を来したRXRという分子を標的として、そのリガンドである非環式レチノイドを用いることにより、アポトーシスからすり抜けたガン細胞が再度分化してアポトーシスするようにするという、大きな発癌予防の戦略を支持するものとして、極めて重要である。現在、RXRのプロセッシング異常の原因について、DNA変異、スプライシング異常の両面から解析を進めると同時に、RXRの分化誘導ならびにアポトーシス誘導それぞれに対する作用の違いについて検討中である。
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