FGF-9を大脳基底野コリン作動性神経細胞のprimary cultureに投与したところ、(1)コリンアセチルトランスフェラーゼ活性の有意な上昇(2)AChE陽性細胞の生存数の増加(3)AChE陽性細胞の突起伸展効果、が確認された。この効果はNGFとの間で相乗効果があり、FGF-9はNGFとは異なったメカニズムで大脳基底野コリン作動性神経細胞の生存維持に働いていることが明らかとなった。また、FGF-9のコリンアセチルトランスフェラーゼに対する効果はすでに大脳基底野コリン作動性神経細胞への効果が知られている他の神経栄養因子(NGF、GDNF、CNTF、bFGFなど)に較べて有意に高く、この点もアルツハイマー病の治療薬として期待しうる結果であった。 FGF-9がin vivoでもラット大脳基底野コリン作動性神経細胞に染色性が明らかに見られ、FGF-9 mRNAが発現していることを確認した。このことは、FGF-9はparacrineあるいはautocrineのメカニズムで大脳基底野コリン作動性神経細胞を維持していることを示しているものと考えられた。
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